低価格なアクティビティートラッカー(Xiaomi)

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このデバイスの特徴は、アクティビティートラッカー(スマートバンド)に必要な機能を低価格で実現しているところです。対応する活動量は1日の歩数、消費カロリー、睡眠時間と質(深い、浅い)で、生体情報は1分毎の脈拍数、血中酸素飽和度(SpO2)、心拍変動データから算出するストレスレベルの計測ができます。
ディスプレイがとてもキレイなことももう一つの特徴です。本体サイズいっぱいの有機ELディスプレイは解像感も色階調の高さもスマートバンドとしては必要十分です。

その一方で本体以外のソフトウェアの面で残念なところが多いです。まず、連携するスマホアプリが少し残念です。各計測項目のメニューのレイアウトやデータ表示の方法に統一感がないため(歩数には履歴表示があるが睡眠時間にはないとか)、見たい情報にすぐに(直感的に)たどり着くことができません。また、心拍数(脈拍数)は自動で最短1分毎に計測されるんですが、スマホアプリ(Mi Fit)からはそのデータを参照できません(本体表示かエクスポートしたデータでは見られる)。アプリではストレス状態や血中酸素飽和度と同様に手動で計測した結果だけを確認できる仕様です。スマートバンドの場合、その日のデータは身に付けている本体画面で確認することの方が多いです。スマホでは過去の履歴や変化の傾向などの分析結果を知りたいところですが、このアプリはそうした設計にはなっていません。

連携アプリに期待できないのであれば、データだけを取得して他のサービスや自分で分析するしかありませんが、データエクスポートやデータ連携の面でもやや残念な印象です。Apple Health、Google Fitへのデータ連携(歩数、睡眠、心拍数、消費エネルギーなど)には対応していますが、WebAPIなど他のプログラムやサービスからデータを取得する仕組みはありません。また、計測データを一括でエクスポートする場合も少し癖があります。まず、アプリ内のエクスポート機能が「バージョン情報」メニュー内にあるという変わった作りです。データエクスポートはリクエスト後に送られてくるメールに書かれたURLからダウンロードする仕組みなんですが、スマホアプリからリクエストすると、空のファイルがダウンロードされ上手くいきませんでした(3回試しました)。リクエストページをPCのブラウザで表示し、そこから操作することで取得できました。エクスポートで取得できるデータも最低限の情報しか含まれていないのも少し残念です(シンプルと言えばシンプルでいいんですが)。今回、検証のために分析した安静時心拍数や総睡眠時間などは項目がなく、提供されたデータから自分で再計算する必要がありました。

計測性能

Miスマートバンド 6、Oura Ring、Fitbit Inspire 2(以下、それぞれMi 6、Oura、Fitbit)の3つのデバイスを左手に装着し58日間計測しました。歩数、睡眠時間と安静時心拍数に関する結果を比較しました。

歩数計測

fig1-step

Mi 6は、Oura、Fitbitの結果と高い相関関係を示しました。各デバイスの1日の平均値(標準偏差)はそれぞれ、4108 (4732)、4586 (4238)、4964 (5066)歩で、デバイスごとに400歩程度違いがありますが、統計的には有意な差と言えませんでした。 ただし、Mi 6は1日5000歩以下の低活動な場合、Oura、Fitbitに比べ、より少ない歩数になる傾向(平均で50%減)がありました。
歩数の値にはデバイス間で違いがあるものの、Mi 6も他のデバイス同様、増減の変化傾向をちゃんと捉えていると言えます。

睡眠計測

睡眠計測結果はFitbitのデータがうまく計測できなかったため(実験後Mi 6を外したところ、正常に戻ったことから、Mi 6の緑、赤、赤外の3色LEDが影響したと考えられる)、Mi 6とOuraの比較データとなります。
睡眠時間は解釈が難しい結果となりました。睡眠時間のうち、総時間と浅睡眠時間は相関関係が認められましたが、REM睡眠、深睡眠には認められませんでした。また、総時間と浅睡眠時間ではMi 6が統計的に有意に長い時間でしたが、REM睡眠、深睡眠では差はありませんでした(下表参照)。以前レビューした低価格アクティビティートラッカー「Honor Band 5」もそうでしたが、Mi 6の睡眠に関する計測は長めに出る傾向があるようです。
まとめると、総時間と浅睡眠は、増減の傾向が似ているが計測値としてはMi 6では長めに計測され、REM睡眠と深睡眠は増減の傾向は異なるが平均してみれば同程度の計測結果になるというものでした。脳波計測など真値との比較ではないため確かとは言えませんが、Mi 6の睡眠質(浅い、深い)の計測結果の利用には注意が必要かもしれません。

総時間REM睡眠浅睡眠深睡眠
Mi 6391.5 (70.5) 90.8 (36.9)235.0 (46.7) 65.6 (22.7)
Oura320.4 (57.7)80.5 (22.7)172.3 (44.3)67.7 (21.4)
単位は分。カッコ内は標準偏差、「 † 」は統計的有意差を示す。

安静時心拍数(RHR)計測

Mi6-RHR

Mi 6、Oura、FitbitのRHRの平均値(標準偏差)はそれぞれ64.0(2.84)、62.8(2.50)、72.0(2.59)拍/分ですべてのデバイス間で統計的に有意な差でした。ただし、Mi 6、Ouraは睡眠中の平均心拍数であるのに対し、Fitbitは起床時5分間で計測された心拍数のためこの違いは当然と言えます。計測部位が手首と指先という違いがあるものの、RHRに関してはMi 6はやや高めの計測結果となるようです。

歩数同様、RHRでも、Mi 6と他のデバイス間に高い相関関係(相関係数0.8以上)が認められました。Mi 6の計測値には違いがあるもののRHRの増減の変化傾向をちゃんと捉えていると言えます。

Xiaomi Miスマートバンド6
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